掌蹠膿疱症とは手掌(手のひら)と足蹠(足の裏)に生じる多発性無菌性の膿疱を特徴とする慢性の皮膚疾患です(下図参照)。この皮膚疾患では約10%に骨や関節の病変を伴うことがあります。
胸肋鎖関節炎(胸の痛みを起こす)の合併頻度が最も高く、脊椎炎や仙腸関節炎(首や腰の痛みを起こす)を合併することもあります。掌蹠膿疱症に骨や関節の病変を合併した場合には、PAO (pustulotic arthro-osteitis)やSAPHO症候群 (synovitis, acne, pustulosis, hyperostosis, osteitis)という病名で呼ばれます。皮膚の症状も骨や関節の症状も良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いです。
病気の原因は病巣感染といわれる細菌アレルギー説が主流です。病巣感染とは扁桃腺炎や虫歯などがおおもとの原因で、これらの病気に反応して皮膚の症状が出たり、骨や関節の症状が出るとする考え方です。しかしはっきりとした原因が分からない方がたくさんおられるのも事実です。
治療は皮膚科を中心にアレルギー科、耳鼻科、歯科などと協力しながら行います。骨関節の病変の検査にはレントゲンやCTや骨シンチなどを行います。皮膚病変に対しては、ステロイドやビタミンの塗り薬を用い、胸や腰の痛みに対しては鎮痛薬を用います。抗生剤が有効なこともありますが、症状がなかなか取れない場合にはコルヒチンや免疫抑制剤あるいはステロイドの内服を行うこともあります。病巣感染が明らかになって、この治療を行えば、皮膚の症状や骨関節の症状が良くなってしまうこともあります。
- 関連サイト
- 日本皮膚科学会ホームページ 第27回Q&A掌蹠膿疱症
- リウマチ反応陰性脊椎関節炎ホームページ
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