椎間板は脊柱(せぼね)の構成成分の1つであり、ブロック状の椎骨と椎骨の間に存在し、脊柱に可動性を持たせながらクッションとしての役割も担う軟骨です。椎間板は中央の髄核と外側の線維輪で構成されています。椎間板は常に力学的負荷を受けており、10代後半から加齢やストレスなどで髄核の水分が減少して変性という現象(すなわち老化)が起こってきます。こうした老化現象によって椎間板の支持性やクッションとしての機能が低下すると、周りの神経を刺激したり、靭帯、関節や筋肉に負担がかかり、腰痛の原因になることがあります。こうした椎間板の変性による腰痛が生じた状態を腰部椎間板症と呼びます。症状は急性、慢性の腰痛で体動時(特に前屈位)に痛みが強くなることが多く、下肢症状や膀胱直腸症状は伴うことはまれです。
腰椎椎間板症は、レントゲンでも大きな異常が認められない事が多く、MRIという画像検査が必要となります。治療は鎮痛剤の内服やコルセットなどの保存療法が基本となり、ほとんどの場合症状が軽減します。しかし、ごくまれに日常生活が制限される様なひどい腰痛が長期に続き、手術が必要になる場合があります。MRIで椎間板に異常が見られたからといって必ずしも全例に腰痛が出るわけではなく、腰部椎間板症の診断には経験と専門知識が不可欠ですので、腰痛が長引く場合は一度脊椎脊髄病専門医の診察を受けることをお勧めします。(脊椎脊髄病学会から抜粋、改変)
下図は当院で治療された患者の画像です。
|