側弯症は、特に成長期に生じる進行性の脊柱変形です。変形の程度、進行度、パターン等には個人差があり、残念ながらその原因はいまだ不明です。側弯症の頻度は人口の1〜2%と言われていますが軽度で止まる人が多く、ひどく悪化する人は決して多くはありません。しかし悪化すると外見の問題だけではなく背中の痛み、内臓への影響(特に心肺機能)も無視できなくなります。また、成長期が終了し成人になっても側弯の大きさが40°を超えるものは年間平均0.3〜0.5°悪化すると報告されています。 側弯症が高率に生じることで知られている疾患として神経線維腫症があります。神経線維腫症は全身に多発する腫瘍とcafe-au-lait spotと呼ばれる皮疹が特徴的です。神経線維腫症に伴う脊柱変形の発生率は、1992年Akbarniaらのまとめた報告によればその頻度は約10%とされています。そして神経線維腫症に伴う脊柱側彎症は、X線上の特徴からdystrophic typeとnondystrophic typeの2つに分けられます。その中でdystrophic typeは、椎体のscalloping、頂椎のwedging、横突起や肋骨のpencillingなどの特徴を有し、急速に側彎が進み、一般的に保存的治療は無効とされています。また手術を選択しても骨の脆弱性、易出血性、骨癒合の遅延により、矯正・固定の維持が困難であり、手術後に変形や症状が進行し、数回の手術を要することが多いです。側彎および後彎ともに20〜40%台の報告が多く、われわれの成績も矯正率は平均56.3%です。早期発見・早期治療が必要です。
下図は手術前後のレントゲンです。