脊髄空洞症とは、脊髄損傷、癒着性クモ膜炎、脊髄腫瘍、キアリ奇形、原因不明の特発性など色々な原因で起こります。病態は簡単に言えば、脊髄の中に水(脳脊髄液)が貯まり、脊髄の中に「ちくわ」のように空洞ができる病気です。この貯留した水溜まりが、大きくなると脊髄を中から圧迫するので、手足のしびれや運動障害、排尿障害などの脊髄障害が起こる可能性があります。診断は、以前はなかなか困難でしたが、現在ではMRIにより、容易に確定診断ができるようになりました。脊髄空洞症の原因は様々ですが、小脳が先天的に下っていて脳脊髄液の流れが妨げられたり、脊髄損傷後や脊髄炎後のやはり脳脊髄液の還流障害を基盤として発生すると考えられています。
治療法として、小さいものや症状のないものは様子をみるのみで十分です。症状が高度になれば多くは手術療法の対象となります。手術法には、大後頭孔減圧術など脊髄液の流れを改善させる方法(髄液バイパス術)と空洞内に細いチューブを入れ貯まった水を空洞外へ流すシャント術があります。適切な時期に手術を行えば、空洞症を縮小させ進展を予防する事が可能です。顕微鏡を必要とする繊細な手術ですから、脊椎脊髄病指導医に御相談下さい。
(脊椎脊髄病学会から抜粋、改変)
下図は当院で治療されたキアリ奇形患者の画像です。
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