- 脊椎分離症、分離すべり症 |
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脊椎分離症というのは、脊椎の関節突起間部といわれる部位で本来つながっているべき骨の連続性が絶たれてしまっている(分離している)疾患です。主に5番目の腰椎(腰の骨)に生じ、スポーツを行なう学童期に多く発症することから原因は腰にかかる繰り返しの外力による疲労骨折と考えられています。診断にはCTが有用です。本疾患の主な症状は腰痛ですが、運動時には腰痛があっても普段はあまり症状がないこともあり、放置される例も少なくありません。しかし、早期にコルセットの装着や安静などの適切な治療を行うことで骨折した部分の癒合が期待できます。したがって、お子さんに運動時の腰痛が生じた場合は早期に整形外科専門医を受診することが大切です。分離症が疲労骨折と思われる前は、分離症が見つかれば例外なく3ヵ月間コルセツト(腰に着ける装具)着用し運動を禁止するというのが一般的な処方でした。現在ではレントゲン上骨癒合が期待できる状態の場合はコルセット着用し運動に関しては禁止とします。現実には来院するほとんどは骨癒合が期待できない状態です。当科としては神経症状がなく少々の痛みがあっても全力で走ったり跳んだり出来ていれば運動は許可します。
分離症が放置された場合、隣り合った脊椎との間の安定性が損なわれてしまうため加齢とともに骨と骨との位置関係にずれが生じることがあります。この状態を脊椎分離すべり症と言います。すべりがひどくなると下肢の痛みやシビレが出現することもあり、時に手術が必要となることもあります。適切な治療が行われれば、治療後の経過は比較的良好です。腰痛が長引く場合や下肢の痛み・シビレが出現した場合、早めに脊椎脊髄病専門医を受診することをお勧めします。
(日本脊椎脊髄学会から抜粋、改変)
下図は当院で治療された患者様のレントゲンです。
- 参考
- 腰椎分離症(徳島大学の西良先生サイト)
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