強直性脊椎炎とは脊椎を中心に手足の関節に炎症を起こし、最終的には強直(硬くなり固まること)にいたる原因不明の慢性炎症性疾患です。関節リウマチとは異なり、血液中のリウマチ因子が陰性であることからリウマチ反応陰性脊椎関節炎 (SNSA: Seronegative Spondyloarthropathy) の代表的疾患と考えられています。HLA-B27の陽性率が90%を超えることから遺伝的因子の関与も示唆されています。発症年齢は10〜30歳代で、男性の方が10倍以上多く、日本での有病率は0.03〜0.04%です。腰や臀部の痛みが夜間や安静時にも続き、全身疲労感や熱感を伴うこともあります。病気が進行すると高度の後弯(猫背)になることがあります。手足の関節炎は20〜35%に合併するとされ、股、膝、肩などが侵されやすいです。他臓器の合併症として視力障害、肺換気障害、心機能障害などを合併することもあります。
診断には臨床症状とレントゲン検査のほか、血液検査、CT、MRIなどが必要となります。早期の診断は困難な場合も多いです。治療の中心は症状に応じた対症療法が中心となります。つまり消炎鎮痛剤の内服で痛みを抑え、運動療法と理学療法で脊椎や関節の強直を予防します。
(参考文献 臨床脊椎脊髄医学 三輪書店)
|
強直に至った脊椎。その様子はbamboo spineともいわれる。骨の中はもろく、矢印のように、脊椎骨折を起こすこともある。
|
|
- 参考
- リウマチ反応陰性脊椎関節炎ホームページ
|