脊椎の手術では,手術中に金属のネジ(スクリュー)を骨の中に挿入することがあります.しかし,身体の外から骨の中のスクリューの方向を確認することが困難でした.近年,手術支援システム(図1)を導入することで,骨の中をどの方向にネジが進んでいるかを,画面上で確認(図2)することができるようになり,より安全に手術を行なうことが可能になりました.
腰椎椎間板ヘルニア,腰部脊柱管狭窄症といった疾患に対して,内視鏡手術あるいは顕微鏡手術を積極的に導入しています(図3).また,脊椎に不安定性があり,金属で固定する必要がある患者さんに対しても,顕微鏡を用いて,小さな傷(きず)で手術が可能になりました.
|
図3 |
当科では,脊椎手術の際に脊髄モニタリングを行っています.
脊髄モニタリングとは脊髄の電気伝導能を評価する方法であり,圧迫性病変や脊髄腫瘍などによる脊髄の損傷の程度を評価することができます.これを脊椎手術中に行うことにより,手術操作による脊髄へのダメージや,脊髄圧迫の解除,腫瘍摘出直後の脊髄機能の回復の程度をリアルタイムに知ることができるため,脊髄神経を損傷する可能性がある手術においても正確で安全な手術が可能となります.
具体的な方法としては,脊髄を電気刺激し,病変部を挟んだ反対側の脊髄で誘発電位を測定することにより,脊髄神経(特に知覚神経)を評価します(Sp(E)-SCEP).また,症例によっては経頭蓋的に運動野に磁気刺激を加えて筋肉で誘発電位を測定することにより,運動神経の評価も行います(Br(E)-MsEP).
図4:脊髄モニタリングの概略
図5:術中写真、モニタリング用の電極が水色で模式的に示されています
|
|
図4(クリックで拡大) |
図5 |
|